肥後守傳感応録尊厳

五月二十四日

此度も清正一代記を書する。

此度は日頃我等を応援してくれておる皆に対し、筆を取らせて貰う事にする。

無論、今から儂が申す事は隊全体の想いである事も理解してもろうた上で読んで頂きたい。

皆に申したき事、

それは演舞に参戦する際や我等と交流を図る際に他の者へ思いやりを持って接して欲しいという事である。

一、

演舞の際、小さい若君や姫君が見えづらそうに立っておったり、地面に座って観ておる姿を良く眼にする。

一方で、一日中常に最前列で座って観ておる者がおる。

我等の演舞に備える其の気概は嬉しき事であるが、一度前線で観たのであれば次は他の者に譲ってやって欲しい。

特に観覧者が多い日、座る事のできない者や見辛そうにしておる者、小さき子供やお年寄りを見かけた際には尚の事である。

我等の舞う姿や話す姿を写真や動画に収めたい気持ちは大変有り難いが、じっと黙り込み、写真機や映像機を覗いておる。

我等は皆を笑顔にしたいのじゃ、何も反応してくれないのは悲しいぞ。

我等の事を応援したいと思うてくれておるのならば、拍手をしたり相槌を打ったりしてくれると我等も救われる。

遠征先も然り、譲り合いの精神を持ち、仲良く皆で我等の演舞を楽しんで欲しいと願う。

二、

我等がおもてなしをしておる最中、別の者と交流を図っておるにも関わらず、其の様子を写真や動画で撮る行為を遠慮して頂きたい。

また、写真撮影する折は、一言声をかけてくれると有難い。

更には、其の写真や動画を不特定多数の者達が閲覧できる場所に修正することなく載せられ、嫌な思いをした者がいるとの事。

客人本人の許可なく公開してはならぬ事を今一度認識し、改めて欲しく思う。

三、

親切心からの行動であるのかもしれぬが、客人と交流を図っている中、話に割って入って来たり、我等がおもてなしをしておる客人のすぐ近くで待つ者が居る。

不快に思われる客人もおられる故、控えていただきたく思う。

四、

我等の話を聞く時は写真機から手を離し、ちゃんと我等の話を聞いてくれ。

五、

以前から申しておるが、構え(ポーズ)指定への要望には応えられぬ。

そればかりでなく向こうの桜の下で撮りたい等、場所を指定されても応じられぬ事、了承願う。

良き写真を撮り、我等の活動を発信したい気持ちは痛い程解る。

解るが、斯様な事をしておると規則を確と守ってくれておる者達が不憫であろう?

我等は演舞やおもてなしを通し、熊本の旅を楽しんで貰いたいと強く願っておる。

此度の武録を読み、皆の感じ方も様であろう。

故に、己の振る舞いを省み改めてくれる者も居れば、自分の事では無いと思い、我等の想いが届かず無に帰す者も中には居るやも知れぬ。

はたまた、此れを機に来なくなる者もおるであろう。

我等の至らぬ所で皆に迷惑をかけてしまった事もある。

然れど、我等は皆が楽しめるものを!

と最上のおもてなしの形を目指し、日試行錯誤しながら今この瞬間も考えておる。

一部の者の振る舞いによって、全体も同様であると思われるのは、至極残念な事じゃ。

皆が笑顔で過ごせるのならば、儂が矢面に立ち、全てを受け止めよう。

鳴け聞こう、我が領分のホトトギス

儂が行った国づくりは民達の声を反映させたもの。

此度も同様と心得る。

此度の武録、書いていて気持ちの良いものではない。

そう何度も申さぬ故、今一度考えてみてくれ。

我等の一挙手一投足が熊本城おもてなし武将隊であり、支えてくれる皆の行動もまた熊本城おもてなし武将隊の姿なのである。

儂は熊本城おもてなし武将隊の大将である。

我等は此の世に生きる皆を明るく笑顔にせんと蘇った。

我等武将隊は誰か一人のものでは無い、皆のものじゃ。

改善が見られぬ場合は、儂の器が其の程度のものであったのであろうと真摯に受け止めたく思う。

披見、大儀であった。

加藤肥後守清正