不器用な恋人30

そろそろ飽きてきたぞ

長くは保たない私の悪いクセ。

唐突な結末、呆れないでくださいね。

あ。まだ終わらないですけど。

そろそろ、ね。

とぼとぼと。

家に帰る。

きっと、智は。

俺が、エロ小説家だから。

女の子と寝ては、ネタを集める変態だと思ったに違いない。

そう思われても仕方ないシチュエーションだ。

だけどさ。

智だって。

幼馴染だというのが、櫻井さんである可能性が高いじゃないか。

マンションまで借りてもらい、

俺の挿絵を描き、

しかも。

ホテルで会ってたりしてさ。

まさか、

俺とは浮気?

満たされない気持ちを、俺で埋めていた?

考えれば、考えるほど。

ネガテイブな方向しか、思い浮かばない。

あんなに会いたかった智だっていうのに。

俺は、パソコンに向かって。

自分の気持ちを綴っていく。

仕事であるエロ小説より

ずっとたくさん書き連ねられた

智との、優しいひととき。

温かくて、愛しい時間。

パソコンの画面が、次第に曇ってきて。

慌てて、瞼に浮かぶ涙を拭った。

トンと、キーを叩いて終了する。

俺の恋も。

終了なんかな?