カタオモイverD30
潤の家のドアを閉めると同時にへなへなとその場に崩れ落ちた。
あの男こないだエレベーターで話しかけてきた男だ。
うそだろ
そんな
潤に男の恋人がいるなんて
知らぬ間に涙が溢れていて、それを手で拭ったが拭いても拭いても溢れてくる。
ハンカチで目頭を押さえた。
泣いたことを智に知られたくなくて、この気持ちを悟られたくなくて、俺は車に乗り込み1時間ほど走らせ涙を乾かし、気持ちを落ち着かせた。
が、落ち着くわけもなく
ただいま。
おかえり。どこ行ってたの?
え?今仕事から帰ってきたんだけど?
そう
ご飯食べる?それともお風呂?
ビールにする。
ビールね。タコ買ってきたけど食べる?
タコ?
うん。わさびつけて食べると美味しいよ。
わさびも買ってきたからすりおろしてくるね。
あ、うん。
智が持ってきてくれた缶ビールを開けて一気に飲んだ。
そんなに飲んでどうしたの?
えっ?
すごく喉乾いてたから。
そう。
なんかあった?
別にないよ。なんで?
ううん。
僕はお風呂入ってこようかな。
翔一緒に入る?
あ、うん。
そうだな入ろうかな。
なんか智が俺をじーっと見つめてて、疑いの目を向けてるように感じるからあまり断らない方がいいと思い、一緒にお風呂に入り、今日はそんな気分じゃなかったけど智を抱いた。
潤に男の恋人がいることにかなり動揺してるからそれを誤魔化すために。
こんなことなら潤になんて会いに行かなきゃよかった。
こんな現実知りたくなかった。
だって潤は女の子にしか興味がないと思ってたから。
だから俺は潤のことスッパリと忘れることが出来てたのに
また昔みたいに潤と友達として仲良く出来たら、毎日に刺激があって楽しいんじゃないかってそう思って潤に会いにいっただけなのに